ジャンパー膝(膝蓋腱炎)

Runner knee

ジャンパー膝(膝蓋腱炎)

ジャンパー膝とは、膝蓋腱や大腿四頭筋腱の炎症で痛みを発症します。多くは、バレーボールやバスケットボールなどジャンプ動作を長時間繰り返したり、サッカーのキック動作やダッシュなど走る動作を繰り返したりするなど、膝を酷使することにより起こるスポーツ障害です。

バスケットボールをする男性
  • ジャンパー膝の発症メカニズム

    ジャンプやダッシュなどによる膝関節の屈伸動作を頻繁に、かつ長時間にわたって行うことにより、膝蓋腱に繰り返しの過度な伸張ストレスがかかり、微小な損傷が腱線維に生じ、炎症症状が引き起こされ、力学的な脆弱性、腱の変性がもたらされます。

    膝蓋腱周囲に新生血管の増生や炎症性のサイトカイン(細胞から分泌されるタンパク質)の放出が局所で起こり、腱の変性へと至リます。

    着地時などでKnee in(膝が内側に入る動き)傾向になると膝蓋腱内側にねじれを伴った伸張ストレスが加わり、さらに屈曲が増すにつれて同部位への伸張ストレスも増大し疼痛につながります。

    ジャンパー膝の発症メカニズムのイラスト
  • Roelsらによる重症度分類

    重症度 状態 対策
    軽症 スポーツ活動中で痛みを自覚するが、スポーツには支障がない スポーツ活動の制限はしない
    中等症 スポーツ活動中、活動後に痛みはあるが、スポーツに支障がない スポーツ活動の制限をする
    重症 痛みは常にあり、スポーツ活動に支障がある 基本的スポーツ活動は休止
    最重症 膝蓋靭帯の部分もしくは完全断裂 変性をきたした腱の切除、再建術など
  • ジャンパー膝のチェックポイント

    1.スクワットでは、
    屈曲60°~80°で痛みを感じます。

    ジャンパー膝のチェックポイント①(スクワット姿勢)

    2.片脚スクワット動作での痛み。
    片脚スクワットでは屈曲約30°程度で痛みが誘発されます。

    ジャンパー膝のチェックポイント②(片脚スクワット)
  • ジャンパー膝の画像診断

    X線・エコー・MRIなどを用いて診断します。

    1.X線

    患側(障害がある側)では健側(障害がない側)と比較して腫大した腱の陰影が認められます。赤い丸印の部分は膝蓋腱部の石灰化像です。

    ジャンパー膝の画像診断(X線)

    2.MRI

    膝蓋腱内に高輝度陰影を認め炎症と微細な損傷が疑われます。

    ジャンパー膝の画像診断(MRI)

    3.超音波エコー画像診断

    超音波エコー画像診断により腱の肥大、Fibrillar pattern (線状高エコー像の層状配列)の開大・不整・消失、ドップラーによる血流増加などが認められます。

    ジャンパー膝の画像診断(超音波エコー)健側 ジャンパー膝の画像診断(超音波エコー)患側 ジャンパー膝の画像診断(超音波エコー)ドップラー